TPPで高級ブランドのバッグが安くなる!?

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TPPが発効すれば、CO○CHのバッグが安くなる?!

TPPについて詳しくご存知でしょうか?

今回は、TPPによる輸入品の値下がりの影響について考えてみようと思います。

あまり詳しくない方でもこの記事を読めば、予備知識ゼロでTPP問題の本質に少しだけ触れることができます。

 

まず、TPPは条約です。

条約とは、国と国の間の取り決めです。

TPPは、その条約を、加盟する12か国の間で全体的に結ぼうという取り組みです。

TPPの発効時期(加盟国間で効力を発揮する時期)は、早ければ2年後、2018年の4月ごろとされています。

 

この条約の目的の一つは、一言でいえば、「自由貿易」です。

自由貿易とは、関税(輸出を受け入れる国によって、商品の輸入時に、その物の値段×決められた税率が課される)を撤廃することで、輸出国の売りたい値段でそのまま消費者の手に届く、という方式のことです。

自由貿易の構造は下の図の通りです。
自由貿易の構造
輸入受け入れ国の側で、高い関税が維持されたままだと、せっかく安い値段で輸出しても、関税によって現地で売られる値段が上がってしまい、なかなか買ってもらえないので輸出した国は儲けにくいです。

しかし、自由貿易が行われれば、輸出した商品の値段が関税によって上がることがないので、その商品の値段がもともと安ければ、安いまま販売されることになります。

すると、現地の消費者は、国内商品よりも安い輸入商品を手にすることが可能になります。

現地の消費者が、輸入商品をたくさん消費すれば、輸出した国はその分儲けることができます。

 

TPPが成立すれば、日本が現在かけている農産物の関税のうち、82%が撤廃されます。

現在もかなりの量の輸入食品がスーパーマーケットに並んでいますが、関税撤廃によって輸入食品がより安くなるのは私たち消費者としては歓迎すべきことではあると言えます。

 

冒頭にもありますが、関税が撤廃されるのは食品だけではありません。

バッグや野球用のグローブなどの革製品、コートなどの衣類にはもともと10%前後の関税が課されていましたが、数年おきに段階を踏み、最終的には関税が完全に撤廃されます。

 

現在、輸入されるバッグには8~16%の関税がかかっているので、その分売値は上がってしまっています。

TPPによって関税が撤廃されれば、10%ほどはCOACHのバッグの売値が下がるかもしれません。

 

「TPPでブランドのバッグが安くなる!やったね!」

 

⋯と、これで終わればよいのですが、物事はそうウマいことばかりではないもので、得をする人がいれば当然、損をする人が生まれます。

 

TPPのデメリットって?

損をする人→農林水産業を営む人たち。

TPPによる関税撤廃は、生鮮食品、加工食品など幅広い分野の輸入食品の値段を下落させると考えられています。

輸入食品の値段が下がると、値段の比較的高い国内の食品は売上が減ってしまう、ということが起こります。

結果的に、日本の農家たちにはコストカット、値段引き下げなど、かなりの負担が強いられることになるでしょう。

 

現に政府の試算によると、農林水産業の収益は約2100億円減少する、とされています。

TPPによる農家の収益減少に対しては、補助金の交付、空き農地の貸し出し、国産ブランド強化の援助などが対策案として挙げられています。

 

「政府の試算に基づき、農林水産業への対策が組まれているのならそれでいいのでは?」

 

確かに、そこで思考を止めてしまうことも可能です。

 

ただ、この援助が果たして本当に十分なのか、という疑問が噴出しています。

東大の鈴木宣弘教授は、農林水産業の収益減少額は1兆5千億円以上(政府試算の7倍以上)にのぼり、現在政府が提示している対策だけでは、日本の農林水産業を救うには到底不十分であるとしています。(TPPには無理がある 東京大学大学院・鈴木教授講演

 

ここでの問題は、政府試算と学者の試算、どちらが正しいのかということではありません。重要なのは、政府が、現時点で想定しうる最悪の収益減少額に基づくことなく、楽観的な試算に基づいて対策を提示しているかもしれないことが明らかになったことです。

 

どうやって農林水産業を守る?

農林水産業を守りたいなら、日本がTPPから抜けるのが一番シンプルでわかりやすい策です。

しかし、TPPにより撤廃される関税の内訳は既に確定していますし、政府としても急に方針を転換してTPPから抜けようとすれば国際的な関係性を損ないますから、今から日本がTPPから脱退するのは天地がひっくり返るようなことがない限りあり得ないでしょう。

 

国内の農林水産業を守るためにわれわれ市民ができることは限られています。

一つは、TPPの悪影響に対する、政府による国内政策が的確かつ合理的な量と質で行われるのかを気にし続けること。

もう一つは、TPP発効後、輸入食品が安くなっても国産食品を選びつづけること。

 

あなたは、安い輸入食品と高い国産食品、どちらを選びますか?

1人1人の選択と意識が、日本の農林水産業の未来を左右します。

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