【廃炉決定?】高速増殖炉もんじゅって何?どうして必要とされたのかを振り返る

国政
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 発電しながら使った以上の燃料を生み出す夢の原子炉と言われた、高速増殖炉もんじゅ。
1994年に福井県の敦賀市で運転を開始したもんじゅは、稼働してまもなく冷却材のナトリウム漏れ事故を起こし、運転を停止しました。2010年には14年ぶりに運転を再開しますが、再び事故で運転を停止されることに。その後も運営側によるトラブルが相次ぎ、現在も運転停止のまま再稼働する見込みが立っていません。

 こうした経緯から、政府は年内に廃炉を正式に決定するとしています。初めて知ったという方にも分かりやすいように、今回はもんじゅについて以下の三つの点から取り上げてみたいと思います。

①そもそもどうして必要とされていたの?
②今、政府はもんじゅを必要としているの?
③もんじゅの存続と廃炉を巡る対立の背景

実現すれば日本は資源に困らない?もんじゅが必要とされた理由

 もんじゅは政府が推し進めてきた、ある原子力政策の柱とされてきました。
その原子力政策とは、原発で使い終わった燃料を再処理し、再び原発で利用できるようにするというもので、「核燃料サイクル計画」と呼ばれています。

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 核燃料サイクル計画が考えられていた当時、もともと資源が乏しかった日本はエネルギー資源を輸入に頼り続けることに不安を感じていました。中東の国で戦争が起こり、その影響を受けて日本に石油が届かなくなる時期があったからです。

 原発という当時で言えば新たな発電も、必要な燃料となるウランは石油と同様に海外からの輸入でした。ウランについても、当時は地球全体で80年分の埋蔵量しかなく、安定的な資源の確保が難しいと考えられていたのです。
 
 そこで、使い終わった燃料をリサイクルする計画に、普通の原発とは異なる、発電しながら使った以上の燃料を生み出すという高速増殖炉もんじゅが加わることで、使用済みの核燃料を有効活用でき、資源の確保にも困らなくなるだろうと期待されていました。この計画の実現を前提にその後の原子力政策は進められましたが、数十年が経った今でも、もんじゅによる核燃料サイクルは実現していません。

 これまでもんじゅに投入された税金は1兆円を超え、運転を停止していても一日でおよそ5500万円、年間200億円以上の維持費がかかっています。国民からの批判も多く、政府は廃炉も含めて今後について検討するとしています。

もんじゅはもういらない?政府が考えるもんじゅの今後

 メディアでは政府によるもんじゅの年内廃炉を報じるとともに、もんじゅによる核燃料サイクルの実現が不可能な今、核燃料サイクルの廃止も検討すべきではないかとする論評が多く見られました。

 その一方で、政府は高速増殖炉に代わる、「高速炉」の新たな研究開発を視野に入れています。高速炉は、もんじゅのような高速増殖炉とは違い、使った以上の燃料を生み出したりはしませんが、ため込んである使用済みの燃料を消費することはできます。

 日本は以前から、フランスの高速炉「アストリッド」を、日本とフランス共同で研究することを計画しており、この研究で得たノウハウを活かし、いずれは日本独自の高速炉を開発したい考えです。

 ただ、フランスは開発に必要な50億ユーロ(日本円で5700億円)の半分を日本が負担することを求める意向で、多額の税金の投入は避けられないでしょう。

 これまでは核燃料サイクルの中心的存在として「もんじゅ」が必要とされていましたが、今後は、もんじゅの廃炉を前提に新たな高速炉の開発を進める考えです。

もんじゅの存続と廃炉を巡る対立の背景

 もんじゅは20年間ほとんど稼働しない中で、廃炉にすべきという意見と、存続させるべきという意見とで対立が続き、運転をしないまま時間だけが過ぎていきました。

 そしてようやく2016年から、もんじゅの今後を決めるための議論が政府内で行われるようになりました。現在も、政府内でも文部科学省と経済産業省とで対立は続いています。

 安倍首相側にたいして、文部科学省は自らが管轄するもんじゅの研究開発の続行のため「存続」を働きかけ、経済産業省はこれまでのもんじゅの経緯と莫大な維持費用から、「廃炉」を訴えてきました。

 先ほどのアストリッド計画も、日本では経済産業省が管轄していることから、文部科学省に代わり自分たちが高速炉研究を推し進めていくということをアピールしたい考えです。

 一方で、もんじゅのある福井県では知事や、敦賀市長がもんじゅの廃炉に関して強く反対を訴え続けています。というのも、原発のある自治体では、国から特別に補助金が支給されることになっており、自治体の財政に欠かせない重要な財源となっているからです。

 もんじゅを含めた関連企業への政府官僚、電力会社の幹部の天下りについても指摘されており、こうした廃炉になると困ってしまう人々がいるという現実もあります。

 ただ、もんじゅの廃炉を犠牲に、次の高速炉の開発で利益を得ることを狙う政府官僚や関連企業がいても不思議ではなく、高速炉開発をめぐる利権問題はこの先も続くでしょう。

もんじゅを巡る議論の行く末はいかに?

 このままもんじゅを存続する場合でも、廃炉以上に莫大なコストがかかると見込まれており、現状としても廃炉の声が多数を占めています。

 一方で、日本のエネルギー問題は依然として存在しているため、実現した場合のメリットを考えれば、あきらめずに存続して研究を続けるべきだとする意見もあります。

 また最近では、文部科学省の副大臣が、もんじゅの今後について、極めて重要な問題であり、場合によっては結論が伸びるかもしれないとの発言をしており、直後に発言を撤回しています。

 もんじゅをどうするのか、また本当に年内に結論が出せるのかも含めて、今後も目を離せない状況が続きそうです。

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