初の待機児童ゼロを達成した横浜市の待機児童対策3つ

国政
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待機児童1500人が三年でゼロに!

 2010年当時、全国の中でも最多の1522人の待機児童を抱えていた横浜市。しかしその三年後には待機児童ゼロを達成し、横浜市は世間の注目を集めることになりました。

 初の待機児童ゼロを達成した横浜市の対策には当時の安倍首相も高く評価したほど。今回はその横浜市が行った三つの対策と、横浜市の待機児童の現状について取り上げていきます。

横浜市の主な三つの待機児童対策

①企業の保育園事業への参入の後押し
②横浜市独自の保育所「横浜保育室」の増加
③保育コンシェルジュ(相談員)の設置

待機児童の解消に企業が貢献

 横浜市は、企業が保育園を新設する際に補助金を出すことによって、企業の保育園への参入を後押ししました。その結果、認可保育園(国が定めた広さや職員などの基準をクリアした保育所)の数は74か所増え、新たにおよそ5000人の児童を受け入れられるようになりました。

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「横浜市:平成25年4月1日現在の保育所待機児童数について」

 また認可保育園計580か所のうち、企業経営の認可保育園は152か所と、全体の約26%を占めるほどになりました。

 当時の企業経営の認可保育園は全国平均で2%程度のため、いかに横浜市が保育園事業に力を注いでいたかが分かります。

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「横浜市:平成25年4月1日現在の保育所待機児童数について」
 多くの保護者の方が子どもを預けて働くことが可能になれば、労働力が増えて経済効果も生まれるようになります。

 今回横浜市が企業による認可保育園の新設を主導したことが、待機児童解消の大きな要因になったと言えるでしょう。

横浜市独自の保育所の増加

 認可保育園を増やしていくことと並行して、横浜市は市独自の基準を定めた「横浜保育室」を増やしていきました。横浜保育室は認可保育園ではないものの、横浜市が独自に保育時間、保育環境、保育時間を定めた基準を満たした施設です。

 保護者のニーズの高い0~2歳児までを対象にしており、認可保育園に落ちた方への受け皿としても利用されています。1997年に横浜市が全国に先駆けて開始したこの横浜保育室、当初は51か所で定員は1561名となっていました。

 その後しだいに施設を増やしていき、待機児童ゼロを達成した2013年4月時点では、156か所まで増え、定員も5257名と当初の3倍以上にまで拡大しました。今では横浜市の待機児童対策において欠かせないものになっています。

横浜保育室の定員と待機児童数の推移(過去10年)vol3

   「横浜市子ども青少年局 平成25年10月説明会資料」

保育コンシェルジュの活躍

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 保護者が抱える疑問、悩みは様々です。初めての育児で子どもをどこに預けたらいいのか、そもそもどのような保育サービスがあるのか分からないという方や、保育園へ入れず他に空きのある保育施設がないかを探している方もいます。

 保育コンシェルジュは、そうした保護者の方々のニーズに応じて、認可保育所や横浜保育室をはじめ、一時預かり事業や幼稚園預かり保育など多岐にわたる保育サービスを紹介しています。

 各保育園の空き状況も常に把握しているため、認可保育園への入所が認められなかった場合の他の施設の案内や、保育施設の空き状況に関する情報提供も行っています。

 保育コンシェルジュはそうした保護者の方々にとっての心強い相談役として待機児童の解消に貢献し、テレビなどでもその活躍が取り上げられることになりました。

横浜市の待機児童対策の現実

 このように待機児童ゼロを達成した横浜市ですが、それがメディアで広く取り上げられたことで申し込みが増え、翌年2014年には待機児童は20人になりました。

 2016年時点では7人と減っていますが、この待機児童の数も、実態を反映した数値であるとは言えません。というのも、待機児童の数え方が自治体によって異なるためです。

 横浜市の定義する「待機児童」は、単に「保育園に申し込みをしても入所ができない児童」ではありません。このような場合は「保留児童」とされ、待機児童には数えられないからです。

 さらに、横浜保育室などに入所している、育休を取得している、近所の保育園に入りたいという理由で入所を控えているという場合も、待機児童には数えられません。

 このため、「待機児童ゼロ」を達成した横浜市でも、実際にはおよそ3000人の「隠れ待機児童」がいるとされています。数え方も定義も自治体ごとにバラバラ。このような待機児童の実情を把握した上で、国や自治体がどのようにこの問題に取り組んでいくのかが今後の焦点になっています。

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